査定と言っても「立場」や「指標」で異なる
不動産価格の指標には「固定資産税評価額」「路線価」「公示価格」「実勢価格」と呼ばれるものがあります。
固定資産税評価額 | 路線価 | 公示価格 | 実勢価格 |
公示価格の約7割 | 公示価格の約8割 | 公示価格の約1.1倍 | |
1月1日時点 | 1月1日時点 | 1月1日時点 | |
市町村 | 国税庁 | 国土交通省 | 随時 |
3年に1回見直し | 毎年 | 毎年 | |
3月・4月発表 | 7月1日発表 | 3月20日頃発表 | |
固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基準となる | 相続税や贈与税を計算するときに使用。路線(道路)に面する1㎡あたりの評価額 | 1ヵ所につき2名以上の不動産鑑定士が査定 | 市場で実際に取引が行われた価格 (売却後の価格となります) |
どれも価格としては間違っているわけではないのですが、固定資産税評価額を元に査定した場合と、実際に売れるであろう実勢価格に近い額で査定した場合では査定額が大きく開くことがあります。
財産分与の際に固定資産税評価額を査定の算定に用いることはあるようですし、それでお互いが合意すれば問題はありません。
ただ、不動産屋からすると(私の個人的な意見かもしれませんが)、ちょっと低すぎやしないかと思う事です。全てではありませんが、固定資産税評価額は実勢価格よりも低いことが多いと思われるからです。
ありがちな例として、調停や裁判になった時、双方それぞれ査定してくると思いますが、家の評価が高いほど、財産分与の金額も高くなりますから、財産分与で低く抑えたい側は固定資産税評価額で査定し、高く分与されたい側は実勢価格に近い額で査定する。基準にした指標も、査定額も異なれば、話し合いは平行線になることは予想されます。
売却後であれば、価格は確定しますが、売却前であれば、あくまで予想額に過ぎないため、当然揉める原因になります。
実勢価格に近い金額で複数の不動産会社に査定を依頼した場合、大きな開きはないかもしれませんが、価格が異なることは通常あります。会社によって査定の考えも違いますし、これは仕方がない許容範囲と言えるでしょう。
弊社が査定を依頼された場合、実勢価格に近い額、いわゆる相場価格、にて査定をしております。売主さんの希望を聞いた上で、該当物件の周辺で販売中のものや過去の成約事例をもとに、概ね3ヵ月程度で売れるであろう金額を提示しております。
高く売れるのに極端に安い価格で提示したり、相場をかけ離れて高く提示することは、プロの仕事とは言えないと考えておりますので、そういう仕事はしておりません。