売却を考えた時にお勧めしないこと
お勧めしないこと1)
不動産は高額な資産のため、いくらの価値があるのか、また、売却したらいくらで売れるのかと知りたいはずです。財産分与を考える際にも、住宅ローンを一括返済する際にもいくらの価値があるのかは必要です。そのお気持ちわかります。
インターネットを検索すれば、一括査定とか、〇分で査定のように、一見、気軽に査定してくれそうなサイトがいくつもありますが、あまり、お勧めしません。
登録しますと、複数の知らない不動産会社から電話やメールが来ます。そして、あなたの個人情報はそれらの不動産会社の顧客名簿に売却予定者として登録されるでしょう。
査定サイトで住所を入力しないと、そもそも査定は出来ませんし、住所や部屋番号を入力すると、不動産会社はその情報をもとに謄本を取得するはずですので、あなたのお名前や、借入した金融機関、当初借入した金額など、ある程度の情報は判明してしまいます。登記情報は料金を支払えば誰でも閲覧出来ますから自然なことかと思います。
さらに言えば、分譲マンションであれば、当初売り出し価格や部屋の間取り、つまり販売時のパンフレットに記載されている程度の情報は入手が可能です。不動産会社であれば、30分もあれば全て入手出来ますから、たやすいものです。
一括サイトに加盟している不動産会社さんも仕事ですので、やむをえない事ですが、離婚でお悩みの、気持ちに余裕もなく身心疲れているところに、営業マンからの「売却する理由はなんですか?」「いくらで売却をお考えですか?」は、精神的にこたえるものです。
お勧めしないこと2)
夫と妻が別々の不動産会社に「査定」を依頼するということがあります。それ自体、悪いことではありません。また、「売却活動」を行う不動産会社が複数あっても問題はありません。
ただし、夫も妻も、両方が窓口になるのはお勧めしません。
窓口は必ずどちらかにされてください。夫婦間でばらばらに売却活動を行うと次のように余計複雑な状態になります。
問題1)
一般向けに販売する際に、販売価格が異なっている。
夫がA社に依頼して価格が2,000万円、妻がB社に依頼して価格が2,500万円、とします。
より条件の良い方になる!とお考えであれば、それは間違いで、逆になります。当然、安い金額となります。
不動産会社は依頼を受けると、特定の不動産サイトに登録する義務があります。私たち不動産会社はそれを自由に閲覧できますので、同じ物件が、価格違いで同じ土俵にあがるわけです。
同じ物件が複数の不動産会社から出ているとき、私たちはどちらかの情報が間違っているのだろうと思いますが、お問合せをする時は、当然、安い価格の不動産会社と話しをします。なので、あとあと、揉めることになるでしょう。
問題2)
前述は価格が異なる場合でしたが、価格は同じとします。
同時期に購入申し込みが入った場合、どうされますか?夫側ですか妻側ですか?
価格は同じで、夫がA社に依頼し、妻がB社に依頼するとします。
夫が依頼したA社には住宅ローンを使われるCさんから購入申込みが入り、妻が依頼したB社には現金で購入されるDさんから、同じタイミングで購入申込みが入ったとします。
夫が普段世話になっている不動産会社だからということで、夫側のA社で押し切ろうとなったとします。
・・・でも、Cさんは住宅ローンを使い、妻側のDさんは現金での購入だったら・・・私たち不動産会社であれば、当然、現金であるDさんを選択すべきと進言するはずです。
だって、現金だから。
もし、Cさんを選んで、Cさんが住宅ローンの審査に落ちたら販売活動は振り出しに戻ります。
既にDさんは別の物件に行きますよね。
意地の張り合いで、早期に売れる可能性を自分たちで潰してしまうことは避けるべきです。
複数の不動産会社に依頼するとしても、窓口は1本にして、当然価格も合わせるべきなのです。
補足)
高い査定額を出した会社=その金額で売れると思わない事
一般向けに販売をする場合ですが、複数の会社に査定をしてもらう時、「高い査定額=その金額で売れる」ではないということを肝に銘じてください。
販売の依頼を受けたいがために、高く査定してくる会社もあるでしょう。高いから当然、売れませんよね。
売れずに時間ばかりかかって、しばらくしたら、価格を下げましょう!となり、概ね相場の金額で落ち着くものです。
「高い査定額=あなたの家の価値とは限らない」ということを理解してください。
その一方で、不動産会社に買い取りを希望される場合、査定額はその不動産会社が買い取り出来る金額を言ってきますから、当然高い会社にすべきです。
誰に売るかによって、考え方は異なりますので、注意が必要です。